『三島屋変調百物語』の第二弾。この「あんじゅう」は、第3巻に出てくるあやかしの一つである。このあやかしは連載の百物語に出てくる30以上あるあやかしの中では、特にユニークでユーモラスなあやかしである。隠居して学習塾を開いている下級武士新左衛門とその妻初音の老夫婦が、お化け屋敷と噂されて3年間住み手のない大きなお屋敷に住む。お化けや幽霊が出るという噂を承知していたが、適当な住居がないのでそこに住む。実際に出現したのは、黒いふわふわした塊のあやかしである。新左衛門は、このあやかしに暗獣と名付ける。この「あんじゅう」は、二つの丸い目玉がありタヌキぐらいの大きさの影のような怪物である。気味が悪いが、住人に危害を加えることはなく、人の話がわかる。老夫妻は、この「あんじゅう」を怖がることもなく、話しかけ世話をやき親しくなる。しかし、この「あんじゅう」は、老夫妻の人情に触れていくうちに、次第にやせ細っていくという不思議な現象が出てきた。これに気付いた老夫婦は、この「あんじゅう」のために3年たってその屋敷から転居する。この少しユーモラスなあやかしを仮面にしてみた。その本に出てくる「あんじゅう」のイラストとはかなり異なるが、自分なりにその顔を表現してみたかった。ピッタリとイメージに合ったと思っているが、自己満足か。
【あんじゅう】