オム僧

韓国王朝時代の支配層であった両班(ヤンパン、領主〉の横暴と厳しい税の取り立てに、常民は極度に苦しんできた。その積るうっ憤を晴らす場となったのが、年に一度の祭り時に行う仮面劇であった。仮面劇を隠れ蓑に、両班ら支配層への風刺嘲笑を行った。仮面劇には、、両班、その息子、両班の下僕、巫女、僧、閣氏、学者、娼婦などの仮面を作って、村人がそれらの仮面を被って簡単な劇を演じる。両班の仮面は目も鼻も口も特に歪んいて、顔は痘痕や大きなイボだらけの顔で、ひと目で両班と分かる。両班が劇にでてくると、人々は日頃のつらさや苦しみや憎しみを、両班の仮面に向かってぶっつける。僧も特権階級として劇に登場する。ほとんどが破戒僧で、両班の化身とみなされ、ひどい表情をしている。この仮面はオム僧(疥癬かき僧)という仮面で、顔が斑点や痣だらけで顔色も悪い。ただ、今回のオム僧はまだ若く、仏と両班の間に立って苦しんでいる感じの、少しあどけない感じにした。仮面劇で使われた両班らの恨みが鬱積した仮面は、すべて祭りが終わった後、焼却される。仮面が燃えているときは、村人はどんな気持ちなのだろうか。来年また、新しい両班の仮面が作られる。仮面はほとんど紙で作られるので、燃えやすい。したがって、韓国には古い仮面は殆ど残っていない。

【オム僧】

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