アフリカには200近い部族がいて、それぞれが自分たちの土着の神々を持っている、その神々のもとで祭祀や病気治療や葬儀やイニシエーションなどを行ってきた。それらの呪術的行為を有効に行うために、部族の多くは秘密結社をもち、それぞれ独特の仮面を作り、仮面パフォーマンスを行ってきた。旧ザイールに住むキフウェベ族の仮面は、その中でも特に造形的にすばらしい。その仮面は、呪術師が病人の中に潜む悪魔を追い出すためにそれを被って祈祷し治療するために使かわれる。私が最近手に入れた仮面は、比較的新しく特別創造的に富んだものではないが、それでも三角形の銀色の金属を全体に張り込んだ抽象的な構成を見ていると、キフウウェベ族のもつ独特の造形性のすばらしさが伝わってくる。現在、世界に蔓延しているコロナ禍を早く退散させるために、祈りを込めてこの仮面を手本にして自作の仮面を作ってみた。といえばかっこいいが、実際にはこの仮面のすごさに魅せられて模写しただけに過ぎないのかもしれない。
【キフウェベの神】