田の神

名古屋の骨董市で買った仮面の一つを模写した、ダンボール製の仮面である。もとの仮面は木製で平べったく、ダンボールで作るにはピッタリである。これを売ってくれた骨董屋のおじいさんの話では、北朝鮮の北端の都市、会寧(フェリョン)の仮面だという。さらにこの仮面は向こうでは田の神であるという。田植えをする前の神事で使う仮面なのだろうか。どうして北朝鮮の仮面を手に入れたのかと聞いてみたが、もちろん返事はない。韓国の仮面は資料がかなりあるので大体の見当はつくが、北朝鮮についてはわからないことが多い。私は一般的には、骨董市での骨董屋さんとのやり取りはほとんど信用しないが、今回は、とりあえず日本語が殆ど分からないこの韓国人のおじいさんの話を信用し参考にするしかない。7つあるフェリョンの仮面は、この田の神も含めてどれも素朴で土くさい。その雰囲気を失わないよう慎重に模写し造形した。もとの仮面がそうしているように、目玉は神の眼なのでくり抜かず、仮面を被る人が見る目は斜め上に細い小穴を開けた。

【田の神】

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