ミシャクジ(御左口神)は、諏訪地方にいた豪族守矢氏が祀っていた、アニミズム的な古層の神である。ミシャクジは、諏訪地方において、弥生、古墳、飛鳥時代を生き抜いてきた、貴重な縄文の神であるともいえる。ところが守矢氏が信濃国造に敗れて、ミシャクジは祀れなくなった。土着の神の代わりに、信濃国造は出雲系の建御名方命を連れてきて、諏訪大社(上社)を建て建御名方命を祀った。この神社の大祝は金刺氏が務めたが、なぜか不思議なことに神長官には守矢氏がなった。当然、守矢氏は建御名方命を祀ることになるが、その陰でミシャクジを守ることができ、ミシャクジはすっと諏訪大社の中で現代まで生き続けてきたことになる。諏訪大社では、かって「蛙狩神事」という奇妙な神事が行われていたが、出雲系の神の象徴である蛇に、生贄として蛙をささげる神事であるようだが、蛙も蛇も縄文の神にとっては最も貴重な動物であった。ミシャクジの仮面の顔は、蛇とヒキガエルを2匹ずつ描いた。目や鼻や口は、同じ縄文の神として、シャクジと同じ手法で作り、ほぼ同じデザインで作成した。実は、このことはあまり明かしたくないことであるが、目も鼻も口も、トイレットペーパーの芯をつかって作ったものである。神の仮面にトイテットペーパーの芯とは、何か罰当たりな気がしないでもないが、シャクジさんもミシャクジさんも、どうぞお許しくだされ。
【ミシャクジ】